お知らせ

2022年05月31日

(労働相談あれこれ)年次有給休暇はない?

はじめまして、こむろ社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士の小室勝幸と申します

このお役立ち情報では、私、小室が令和4年3月迄の間、約10年にわたって労働局の総合労働相談員として労働相談に携わった経験をもとに、労使トラブルを避けるために知っておいた方がよいことなど、お伝えしていけたらと思っております。何かしら参考になれば幸いです

2019年4月1日より、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、年5日の年次有給休暇を取得させることが義務付けられたことで、年休取得が進むようになりました。令和3年11月に公表された、厚労省の令和3年就労条件総合調査においても、令和2年中の年次有給休暇取得率は、56.6%と昭和59年の調査開始以来、過去最高を記録した、となっております)

しかしその一方で、有給休暇に関する相談は労働相談の中でもとりわけ多く寄せられるものの一つでした。

内容としては、上司からの有形無形の圧力で有給休暇が取得できないといったことだけにとどまらず、「年次有給休暇が何日あるか教えてくれない」「会社が言っている年休の残日数が疑わしいので合っているか確認してほしい」と会社から提示される情報に不信感を抱いての相談も少なからずありました。中には「社長から『ウチの会社には年次有給休暇はない』と言われたけど、そんなことってあるんですか?」なんて話もちょくちょく聞きました。

年次有給休暇は労働基準法で定められたものなので、従業員を雇用している以上、「ない」ということにはなりません。発言の真意は分かりませんが、おそらく、「使うな」ともいえないため、初めから無いことということで納得してもらおうという考えがあってのことと思われます。

最近は労働者側でもインターネット等で年次有給休暇他、労働に関する情報を得ることが多く、「年次有給休暇はない」などといってしまうことで余計に労使間のトラブルに繋がってしまうことが考えられます。

会社側にとって、従業員とのトラブルを避ける意味でも、年次有給休暇の日数管理、そして年間5日は時季を指定するなどして年次有給休暇を与える仕組みを整えることが大事なのではないかと思います。